阪神大震災では5000人以上の方がなくなり、その死因の大半は住宅倒壊による圧死でした。そして、倒壊した建物の8割にシロアリ被害の兆候がみられました。
つまり、多くの方がシロアリ被害によって亡くなったといえます。
この記事ではシロアリ被害にあいやすい家の特長や、自分でシロアリを見つけるときのチェックポイントも含めて解説しています。
もくじ
シロアリの被害にあった家にはどんなリスクがあるの?
シロアリの駆除・予防の費用相場については、下記の記事で解説しています。
参考シロアリ駆除の方法と費用は?料金と相場&シロアリ駆除の方法
シロアリの被害にあった家はどうなる?
まずシロアリが好む条件を整理しておきましょう。
- 適度な湿り気があること
- 日が当たらず密閉されていること
- シロアリの好きな木材があること
シロアリの被害にあいやすい家は、上記の3つの条件が揃っています。
不幸にもシロアリが発生しやすい条件が揃っており、シロアリの被害が発生してしまったとしても、すぐに家が倒れる事はありません。
しかしシロアリの被害を放置しておくと命にかかわる問題を引き起こします。
シロアリ被害を受けた家が災害時に人命を奪う
この写真はシロアリの被害に遭い、ボロボロになった状態の琉球古民家です。柱はスカスカになっており、歩くだけでも床が抜けてしまうほどひどい状態でした。でも、そのままでは、倒れる事はありません。
しかし、この状態で放置していていいのでしょうか?
シロアリの被害を放置するとどうなるのか?
実はシロアリの被害が引き起こす最大の悲劇は、地震や台風の時に発生します。シロアリ被害で強度が不足した住宅が倒れ、その内部で亡くなる方が多いのです。
たとえば、阪神淡路大震災では5000人を超える死者と4万人以上の負傷者が出ました。ほとんどの方の死因は住宅倒壊による圧死でした。
さらに、倒壊した木造住宅のうち約8割にシロアリの被害が疑われると報告されています。
つまりシロアリの被害を放置すると、地震や台風など天災の時に家が倒壊し、人命が奪われるリスクが極めて高くなります。
阪神大震災では倒壊リスクがどれくらい増えたか?
阪神淡路大震災の後、多くの専門家が現地調査に入りました。大阪市立大学の土井正氏らが調査したデータでは、シロアリ等の被害がある住宅は、シロアリ被害のなかった住宅の2倍程度の確率で倒壊したことがわかります。
北海道の胆振東部地震でも被害が発生
シロアリはもともと寒さに強い昆虫ではありませんが、地球温暖化と住宅の高断熱化の影響で、北海道にも生息地を広げています。
そのため、平成30年の北海道胆振東地震の際も、シロアリ被害が原因で倒壊した住宅が確認されています。
参考北海道住宅通信(2019年4月10日)「家屋の倒壊 シロアリ一因か」
シロアリの種類によって被害の大きさが違う
阪神淡路大震災の時多くの被害を与えたのはヤマトシロアリでした。しかし現在、より大きな被害を与えるイエシロアリが日本各地で問題になっています。
内部リンク:シロアリの種類を画像(写真)で解説。イエシロアリ、ヤマトシロアリの特徴と見分け方
気になる人はシロアリがいないか確認を
近年自然災害が大型化しています。万が一ご自宅が被災した場合、命の危険も生じます。シロアリがいるのではないかと心配な方は、ぜひチェックをしてみてください。
シロアリ被害にあいやすい家の具体的なポイント
具体的な条件を上げていくと次のようなポイントが挙げられます。
- 築年数が10年を超えているとシロアリの被害にあいやすい
- ベタ基礎よりも布基礎の家がシロアリの被害にあいやすい
- 基礎断熱を施行している家はシロアリ被害にあいやすい
- シロアリ駆除をしてから6年以上経過しているとシロアリ被害にあいやすい
- 山や林に近いとシロアリ被害にあいやすい
- 山を削って造成した宅地でシロアリ被害が発生しやすい
また、庭に不要な木材を放置していたり、段ボールを置いていたりすると、そこがシロアリの巣になることがあります。シロアリは本来地中に住む生物なので、土の中を通って蟻道をのばし、床下から侵入してきます。
シロアリがコンクリートを食べる事はありませんが、条件が合えばコンクリートに穴を開けて通り抜けることができます。コンクリートの砂粒ひとつひとつを強力なアゴの力で取り除き、穴を開けて掘り進みます。
そのため、コンクリートのベタ基礎を貫通し、建物内部の木材を食べてしまうといったことも起きます。
自分でできるシロアリの簡単なチェック
図のように、シロアリが出やすい場所は水回りや脱衣所に集中しています。
特にお風呂がシステムバスではなく在来工法の浴室だった場合は非常に高い確率で水漏れが起きており、シロアリの被害も発生しています。キッチンの床下なども注意が必要なポイントです。
また、グラフの中で意外にも玄関のシロアリ被害が多いことに気づかれると思います。
玄関の近くに水回りがあるケースが多いことと、建築工事の際、玄関が一番最後に施行されるということも影響しています。
住宅のほとんどの造作を作り終わってから玄関部分を作るので、不足した土はよそから持ってくることになります。これを客土といいますが、この土にシロアリが入っていることがあります。
そういった理由で、玄関にはシロアリの被害が多く発生しています。
シロアリを見つけるチェックリスト
シロアリの被害が進行している場合は次のような特徴があります。もしこういった兆候があれば、シロアリの存在を疑ってください。
床下を覗くと蟻道がある
床下点検口がある場合は、危険のない範囲で床下の点検をしてみることをおすすめします。土で固めたような細長い通路が地面から床まで延びている場合、それは蟻道かもしれません。蟻道がある場合、すでにシロアリの被害にあっている可能性が高いです。
自宅の室内で羽アリが飛んでいる
シロアリの種類や地域によってこ異なりますが、4月から7月頃にシロアリの羽アリが大量に飛び立ちます。これを群飛(スウォーム)といいます。羽アリが窓のすき間などから入ってくるのではなく、室内のどこかから飛び立っている場合、家の中にシロアリの成熟した巣がある可能性が高いです。すでに被害が進行しているかもしれません。
歩くと床がふかふかと沈むようになった
シロアリの被害が進むと、歩いた時に床がたわむのが分かるようになります。これもかなり被害が進行している可能性があるので注意してください。
スムーズに開け閉めできていたドアが開きにくくなった
それまでスムーズに開け閉めできていた引き戸が動きにくくなった場合、シロアリの被害で木部が破損している可能性があります。
床のフローリングの隙間に細かい砂のようなものが詰まっている
床や壁のスキマに、砂とおがくずを混ぜたような細かい粉が詰まっていることがあります。それは蟻土といってシロアリが日光を遮るために、スキマに詰めているものです。
直射日光に弱いシロアリは、土や排泄物を混ぜて、上の写真のように家のすき間を埋める習性があります。
柱を叩くと空洞音がする
柱をたたくとポコポコと空虚な音がすることがあります。この場合もシロアリに食べられている可能性があります。シロアリは下の方から食べ進んでいくので、柱の床に近い部分をノックしてみてください。
その他に注意したいポイント
庭の少し古い切り株などを見ると、シロアリに食べられていることがよくあります。
切り株を食べた後、シロアリは土の中に巣を作り、床下から侵入してきます。庭の木を倒す際、できれば切り株は残さず取り除くようにしてください。
不要な木杭なども片付けておく方が安全です。
シロアリが見つかったわけではないけれど、予防をしておきたいという人は以下の記事を読んでみてください。自分でできる範囲のシロアリ予防も解説しています。
また、運悪くシロアリを見つけてしまった! という人は慌てずに専門業者に相談することをおすすめします。
シロアリ駆除の方法
シロアリを駆除する場合主にふたつの工法があります。
- バリア工法
- ベイト工法
このふたつの方法のうち、もし現在進行形でシロアリがいるとしたら、薬剤で防除するバリア工法を選ぶことになります。
価格は住宅1階の床面積1㎡に対して、2000円~4000円程度の場合が多く、その他に、若干の付帯経費がかかります。価格をおさえて安心な施工を依頼するなら、シロアリ110番がおすすめです。全国で手順を統一し、価格も㎡あたり1200円と、低価格におさえています。
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参考文献
今村祐嗣、角田邦夫、吉村剛(2000)『住まいとシロアリ』(青海社)
吉村剛、板倉修司、岩田隆太郎、大村和香子、杉尾幸司、竹松葉子、徳田岳、松浦健二、三浦徹(2012)『シロアリの辞典』青海社
福島正人、立川正夫、吉野正治、久米国幹(1962)「第2室戸台風による奄美群島の建築物被害について」